寝台列車は眠れない列車でした。  実は、デリーでチケット購入をする際、座席の種類が7等級もあり、
迷っていたら、隣りに居合わせた日本人が、「エアコン無し、3段ベットにする。」と聞いたので、同じにしました。
料金は1人あたり306ルピー。眠っている間に目的地に連れて行ってくれて、宿泊代も浮き、一石二鳥!!

席は、3段ベットが向かい合わせになり窓が1つあるのですが、その窓が2センチ位閉まらないのです。
ベットに横になると、一晩中、頭からまともに冷たい風をビンビンと浴びっ放し。持っている洋服全てを着込み、
タオル類も全て掛けましたが、寒くて、寒くて眠れません!!通路の反対側の席も、同じ状況でしたので
車両全体かもしれません。この時期、北インドの気温は、5度〜20度位。窓が閉まらないなんて聞いて無いよ〜!!


 
  29日の朝、空が明るくなり始める頃、、列車が駅に少しずつ停車し始め、下車する人も。または、
列車が徐行するタイミングで、駅でもないのに、線路脇の砂利に飛び降りて下車する人がいたりして・・・。

下の写真は、列車から見た外の風景です。自転車に乗った人は、これから畑仕事にでも行くのかな〜?

座席に戻り、向かいに座っていた韓国人と仲良くお菓子を食べていると、隣のインド人が突然
「バナーラス駅だよ!!」と教えてくれました。お菓子片手に、大慌てで降りる韓国人と私達!!
列車の時刻表には「バナーラス行き」となっていたのに、どうして終点じゃないの〜?まだまだ分からない事が
一杯のインドです。そして、無事?「ヒンドゥー教の聖地」バナーラスにたどり着いたのでした。



ガンジス川に向かう前に、駅で明日の寝台列車のチケットを購入しました。今度はランクを上げて
「エアコン付き、3段ベット」にしました。1人あたり750ルピーです。エアコンが付いただけで、
値段が2倍強もするから不思議です。明日の寝台列車はきっと暖かいよね!!

駅からガンジス川まで約3キロ。リクシャーを使います。観光客のほとんどの目的がガンジス川と
決まっているせいか、この駅は、リクシャーの客引きが凄くて、恐しいほど寄って来る!!
1人と交渉を始めると、脇から「俺は60ルピーだ〜。」「俺は30だ。」「20だ。」もう値段がメチャクチャ・・・。
安いのに乗ると、ロクな事は無い。デリーでしっかり学びましたから、「100ルピー」で手を打ちました。

沐浴場が近くなると、リクシャーを降りる前から、10代前半位の少年が徒歩で、ずーと着いて来て、
英語で色々語りかけてくる。次に、日本語がペラペラな少年が登場!!「うちの宿を見てください。
ガイドブックにも載っているから心配しないで。  気に入らなかったらやめていいから。」

こちらとしても、宿探しの手間がはぶけるので着いて行きました。フロントで会話をして戻って来た少年。
「今日はもう満室だったゴメンネ、他を探して!!」彼の客引きのお仕事は、今日はもう終了ってところでしょう。
早々に、その場を立ち去ってしまったのです。次のお仕事の時間まで、どこかに遊びにで出掛けたようです。
おいおい、ここは何処だよ。仕方がないので、地図を広げて現在地を確認してから、自力で宿探し。

少し行くと、大きな日本語の看板見つけ、吸い込まれるように、その宿を訪ねました。
最上階(6階)の1部屋だけ空有り、窓からは河を見下ろせ、即決です。1泊2人で500ルピー。


宿に荷物を置き、お昼ご飯にお出掛け。この辺りは、狭い路地が迷路のように入り組んでいます。
多くの人達が生活をし、野良牛や野良犬もゴロゴロいます。河に出る為の道であり、宿や両替所、食べ物、
雑貨など生活に必要な物、全てが揃い、私達のような旅行者や、バナーラスにハマってしまった、
外国人長期滞在者、全てが混在し合い、不思議な世界に迷い込んだような気分になります。


個人旅行では、インドで食事をするのに、扉のある店は珍しいので、ここにしました。清潔感があり、
客は日本人と白人が多く、オーダーしたチキンカレーとベジタブルカレーは、評判通りの美味しさです。


宿から数十メートル歩くと、川岸に続く階段に出られます。沐浴場は「ガード」と、呼ばれていて、河沿い
3キロに渡り84のガードが並び、2ヵ所の火葬場があります。そして全てのカードに名前が付けられています。
対岸は不浄とされ、人が住まないそうですが、牛も渡っていますし、人もボートで渡る事が出来ます。


夜は、ガードで毎晩 PM7時頃から「プジャー」(礼拝)が行われます。無数のロウソク、歌や太鼓の大音響のなか、
若い礼拝層がガンジス川に祈りを捧げます。プジャーを見たあとは、バザールに行って軽〜く夕飯です。
「サモサ」と「チャイ」。サモサは、ジャガイモをマサラで味付けし、皮に包んで揚げた庶民のおやつのようなもの。
お皿は葉っぱで出来ています。2個入って5ルピー。1杯5ルピーのチャイと同額。しかも美味しいんです。


道端でバックを売っていたおじさん。値段を聞いたら、「150ルピー」だと言う。「100にして」と値切ったら、快く「OK」。
冷やかしのつもりでしたが、感じの良いおじさんが気に入ってしまい、ついついバックを買ってしまいました。
右の写真は「スパイス屋さん」。チャイの材料「カルダモン」を購入。旅行中、1番ハンサムなインド人でした。



 
  30日、朝6時起床。6時45分の日の出と、沐浴風景を見学する為、前日に宿でボートの予約をしておきました。1人50ルピー。
まだ薄暗い夜明け前ですが、沐浴する人達とボートに乗る観光客が、ガードにはかなり居ました。


火葬場「マニカルニカー・ガード」は、出入りは自由ですが、基本的に写真撮影は禁止です。、
船頭さんに許可を貰いカメラを向け、1枚だけ「パチリ!!」。ここに船を着け、岸にいたおじいさんに
火葬場の説明と案内をして貰った。と、言いたいところですが、騙されちゃったんです・・・。

「自分はここで、死を待つ老人に、マッサージをしたりボランティアしている。葬儀にはお金が掛かるが、払えない
貧しい人達もいる。あなた達の様な、裕福な国から来た観光客に薪代を寄付して欲しい。50ドル払って下さい・・・」。

何故か「薪代」だけ日本語。おかしい?と思い、100ルピーだけ渡すと「足りない、もっと寄こせ〜。」まあ、
50ドルと言っているのに100ルピー(約200円)ですから・・・。しかし、これ以上は私も怒るわよ〜って、態度で対抗。
宿に戻り、ガイドブックを開いて見ると、火葬場の「薪代請求」の事、しっかりと書いてありました・・・。

ボートに戻ると「船頭!!お前もグルだったのか〜!!」と言いたかった。こんなくだらない事に
巻き込まれているうちに、いつの間にか、とっても綺麗な朝日が昇ぼってしまいました。
綺麗な朝日を見ながらガンジス川にいる気分をゆっくりと味わいたかったのに、ガックリです・・・。


気を取り直し、沐浴風景を楽しむ事にしました。  ヒンドゥー教の信仰では、ガンジスの聖なる
水で沐浴すれば、全ての罪は浄められる。ここで死に遺灰がガンジス川に流されれば輪廻からの解脱を得る。
それは、ヒンドゥー教にとって最高の幸せであり、年間100万人を越える巡礼が訪れるそうです。




ボートを降りて朝食。食堂や屋台は朝から活気に満ちています。何を食べるか迷う位種類が豊富で、幸せな気分です。
プーリーは油で揚げたパン。膨らんでいますが、中は空洞なので量はありません。カレーを付けていただきます。


まだ朝食中。お次は、インドの屋台にしては、野菜を彩り良く、綺麗に飾っていたのが気になり、1つオーダー。
「インド風お好み焼き。」スパイスの効いた香り豊かなソースが決め手!!って朝から食べすぎかしら・・・?


今日はPM2時頃まで自由時間です。郵便局で切手を買い、友人に宛てた、ポストカードを投函。
昨日は下見程度に急ぎ足だった街を、ゆっくりと見て周る事にしました。


雑貨屋のおじさん。始めは怖い感じでしたが、20ルピーのスナックを買っただけなのに、「チャイ」を
ごちそうしてくれました。その気持ちが嬉しかったです。20ルピーでゴメンナサイ。

ここの階段は、大きなガードに続くので何度も通りました。修行層に混ざり、沢山の物乞いも座っているのですが、
体の不自由な方が目立ち、通る度にだんだんと複雑な気持ちになり、辛くなりました。


バザールを歩いていると、昨日から何度も会うインド人達がいるらしい。、こちらは、ほとんど
同じような顔に見えるのでよくわからないのだが、日本語や英語でやたらと声を掛けてくる。

「昨日も会ったね、何をしているの?うちのお店を覗いてよ、見るだけでいいから!!」
3回位声を掛けられると、こちらもようやく顔を覚える。「またおまえか〜。」声を掛けられるのが、
面倒で嫌だったけど、根負けと言うのかな??あまりにしつこいのが、いいかげん笑えてくる。

笑ってしまうとこちらの負けです。仕方が無いので「じゃぁ、お店見るよ。見るだけだよ、案内して!!」
着いて行くと、可愛いストールが結構そろえて有りました。「自分のお土産にストールでも買おうかな?」
鏡が無いのでカメラにとって、自分に似合うか確認。 「悪く無いじゃん!!」とお買い上げしちゃいました。
右写真は、腕にスタンプを押され、「買ってほしい」と、せがまれているところ。


牛と私。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーバナーラスで最後の食事です。


ソナさん。→ 宿探しに困ってウロウロしていた時、目の前のお店から日本語で、「あっちに行くと、宿がいっぱいあるから
行ってみな?」ひと言。お店は宿からも近いので、翌日にも会うと、私達を覚えていて、「良い宿はみつかった?
良かったね!!」またひと言。さりげない優しさが染みました。ソナさんの奥様は日本人との事。(ガイドブックに記載あり)


紅茶屋の兄ちゃん → 何度も顔を合わせ、声を掛けて来たうちの1人で、自分のお店に来て貰いたかったのです。
日本語がやたらと上手くて怪しいので、適当にあしらっていました。しかし途中からずーと着いて来てしまい、
右上の食事の時も、実は一緒にいたのです。とても迷惑だと思いました。(2時間位は一緒にいましたから・・・)

どうしても離れないので、話をしてみると、どうも悪い奴ではないみたい。インドの事をよく教えてくれ、
テーブルに同席したものの、食事を勧めても一切手をつけない。日本に行った事がある、日本人が好き、友達もいる。
と言うのも、騙される時には良くある話ですが、話をしていると向上心タップリの努力家にも、思えてきました。

お店は、「紅茶屋&スパイス屋」さん。紅茶を買う気が無いことを告げた上で、お店にお付き合いしました。
そのお付き合いで、友人が紅茶を買うと、凄く嬉しそうでやっぱり良い奴なのかもしれません??


さあ、また旅立ちです。紅茶屋のお兄ちゃんの仲間の自転車リクシャーでバナーラス駅に向かいます。
今日の寝台列車は、PM4時45分、出発時間が早めです。夕食は列車の中で食べる事にしました。

インドに来てから屋台を覗く度に、ずーと気になっていた、美味しそうなトーストエッグ?にしました。
観光客がコレを買うのが珍しいのか、屋台に近づくと、近くに居たインド人達が、大きなギョロギョロした目で
私達の行動を追い、注目されているのが分かる。「ここで買うのは間違いだったのかな〜?なんだか怖いよ〜。」
だけど、思い切って、目が合うインド人に笑顔を振りまいてみた。するとだんだんとインド人の口元が緩み始めた。

カメラを取り出すと、「自分を撮ってくれ!」と寄って来た。私達からカメラに興味が移った様子です。
撮った写真をモニターで見ては、みんなで大爆笑!!な〜んだ、ぜ〜んぜん怖くは無いんだ〜。


果物?売りの女性は、何度も「撮って!!」と積極的。インドの女性はもっと恥ずかしがり屋だと思っていたので以外でした
右下の子供、少年か少女なのか分かりませんが、すご〜く綺麗な目をしてる。この旅で、私の1番お気に入りショットです。


バナーラス・・・ガンジス川を見て、触れて、自分が何を感じるのか、知りたくて来ました。
しかし終わってみれば感想は人間の事ばかり。インド人に関わる事が「面倒」、だったはずなのに、
ここで多くの人と関わり、「楽しい」、「面白い」、に、どんどん自分の気持ちが変わって行きました。

残念ながら、ガンジス川に何かを感じる事は無かったけど、。人間とか動物だとか関係なく混在し、
そして、生と死が身近にあるという強烈な印象を受けたのは、ここにガンジス川があるからです。

何となく、心地いい。もう少しだけ居たいと思いました。ここにハマり、どっぷりと浸かってしまう、長期滞在者の
気持ちも、今は、分かる気がします。「人に出会わずにインドを旅することはできない。」まさにその通りでした。


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